3種類の検査で自分を理解
DNAについて少し調べてみたところ、3つの質問が頭に浮かびました。
- DNAで家族の歴史について何が分かるのでしょうか?
- 遺伝子は私の見た目、好み、行動にどのように影響するのでしょうか?
- 遺伝病についてDNA検査でリスクが分かるのでしょうか?
23andmeはこれらの質問に答えることを目的としています。「3種類の検査で自分自身を理解しましょう。」 というキャッチコピーがあるのです。 私は23andmeのサービスを試してMyHeritageとAncestryDNAと同じようにトップレベルの先祖・健康遺伝子検査サービスなのか調べることにしました。遺伝子検査業界に初めて登場した会社の一つですが、最高のサービスと言えるのでしょうか?
検査方法
どの検査キットを選んでも検査方法は同じです。箱の中には説明書、じょうごと蓋付きサンプル採取用試験管、試験管を入れて返送するためのプラスチック製封筒が入っています。説明書の指示に従ってサンプルを採取します。簡単に説明すると、以下のような流れです。
- 23andmeのサイトでアカウントを作成して検査キットのシリアルナンバーを入力します。
- サンプルを採取する30分前から飲食を控えます。試験管に十分な量の唾液を入れます。
- 最後に、じょうごを取り外し、蓋をして試験管をポリ封筒に入れてポストに投函します。切手を貼る必要はありません。
結果が出るまで最大4週間かかるそうですが、私は約1週間で結果を見られました。結果が出るまでに検査の進行状況に関するメールが何通か届きました。
23andmeの先祖検査について
父母両方から受け継ぐ常染色体DNAだけを分析するDNA検査サービスは多いものです。Y染色体(男性の場合)、ミトコンドリアDNA(男女)を分析してそれぞれ父系・母系両方の血統を調べられる23andmeなどの会社はあまりありません。 23andmeの先祖検査は先祖・体質検査サービスという名前で、遺伝子に決定づけられる特徴だけでなく民族や先祖についての情報を調べることができます。 ネットで見られるレポートの項目を一つ一つ見ていきましょう。このレポートは非常に手頃な価格で小冊子形式でゲットできます。
民族レポート
23andmeの先祖レポートの一番最初の項目は先祖の地理的・民族的構成です。私の場合、48.4%ユダヤ人、18.7%フランス人・ドイツ人、12.5%東ヨーロッパ系、2%東南アジア系という結果が出ました。東南アジア系の血が混ざっているのはあまり驚きませんでした。ジャワ島に先祖がいたというのは母方の親戚に聞いたことがあるからです。 私が結果を受け取ってから民族レポートは改善されたそうです。500の地域が追加されたため、さらに詳しく先祖のルーツを辿れるようになったのです。比較として、23andmeは世界中1500以上の地域を区別しているのに対して、AncestryDNAは500地域以上、MyHeritageDNAはわずか42地域にしか分割していません。23andmeならかなりピンポイントしてルーツを辿れるということです。 ただし、1つ注意事項があります。詳しくピンポイントできるからと言って必ずしも正確だとは限らないということです。23andmeの一部の利用者から先祖レポートがあまり頼りにならないという声が聞かれます。すでに家族の背景について知っていることと結果が一致しないそうなのです。しかし私を含めて多くの利用者は結果がとても正確だと感じているようです。
先祖のタイムライン
この項目は他社では見たことがありません。最後に特定の民族の先祖が生存していたのは何世代前かが表示されます。
染色体彩色
これも他社では見たことがない比較的珍しい特長です。「染色体彩色」では23組ある染色体の塩基対のそれぞれにどの民族が反映されているかが分かります。 ヨーロッパ系・アジア系のほとんどの人に石器時代の穴居人の血が混ざっていることはご存知ですか? つまり、遠い親戚にネアンデルタール人がいたかもしれないのです。私の結果を見ると、4%ネアンデルタール人で、291ネアンデルタール変異体により、23andmeの利用者の上位25%であることが分かりました。
母系・父系ハプログループ
ミトコンドリアDNA(mtDNA)とY-DNAを分析しない会社もありますが、23andmeでは母系・父系の血統を辿れるというメリットがあります。両親のハプログループを分析することでどんな先祖がいるのか、その先祖はどの地域に住んでいたのかが分かります。 例えば私たちは皆、15万~20万年前に東アフリカに住んでいた女性の子孫だということは科学的に解明されていますが、23andmeの分析で私には母系ハプログループのH2があったことで1万2千年前に中東に住んでいた女性の子孫だということが分かります。 Jという父系ハプログループを辿ると、アフリカに275000年も前に始まったAというハプログループまで血統を遡ることができます。23andmeは地図形式でこのような移住や先祖グループを示してくれます。 23andmeなら大昔の先祖について調べることができます。では、そう遠くない親戚についてはどうでしょうか?
DNAのつながりがある親戚
DNAのつながりがある親戚の項目では、23andmeのデータベースに保存されている利用者のうち、あなたとつながりがある可能性のある人をチェックできます。私は1191人の現存する親戚がいる可能性があり、そのうち3人は近い親戚のようです。 あなたがその人たちと連絡を取りたい場合、相手が合意すればコミュニケーションをとることができます。また、その人たちの先祖レポートにもアクセスでき、相手もあなたのレポートにアクセスできるのでお互いにより詳しい家系図を作成するために役立ちます。
家系図
このレビューを執筆している段階で23andmeはベータ版の家系図ビルダーがあります。このサービスのほかの利用者とのマッチを基に家系図を作成する機能です。私の家系図は「?」マークばかりですが、両親を追加して、再従甥姪(はとこの子供)とリンクしました。 MyHeritageやAncestryDNAなどの有料家系図ビルダーは充実した歴史的データベースから情報を得て家系図の作成を手助けしてくれるのですが、それと比べて23andmeの家系図ビルダーはあまり洗練されていない印象です。 家系図を作成したい方はトップレベルの家系図ビルダーをご覧ください。
23andmeの先祖検査を他社の検査と比べると…
私は他の大手検査会社の先祖検査を受けたのですが、23andmeはレポートに含まれている情報の詳しさと正確さの面で他社より優れています。 最大のデメリットは家系図サービスがないことです。そのようなサービスがあればDNAだけでなく歴史的な記録を利用して家系図を作成できます。有料でも家系図サービスを利用したいならMyHeritageやAncestryDNAなどをご検討ください。
他に検討したい先祖検査サービス
- Living DNAの先祖検査では23andmeとほぼ同じくらい詳しく先祖のことが分かるほか、mtDNAおよびY-DNAも分析してくれます。ただしネアンデルタール人の先祖がいるか調べることはできません。
- AncestryDNAとMyHeritageはどちらも23andmeより先祖に関する情報は少ないですし、常染色体DNAだけしか検査しません。しかし充実した歴史の記録データベースからの情報を家系図の作成に生かせるというメリットがあります(有料)。
- HomeDNAは常染色体、mtDNA、Y-DNA先祖検査を別途で販売しています。また、アフリカ系・アジア系の利用者専用の検査キットもあります。
もう少しお金を払えば先祖レポートから健康レポートにアップグレード
上でも説明した通り、23andmeは3種類の検査を提供しています。先祖+特徴検査、健康+先祖検査、VIP健康+先祖検査です。支払いはアメリカドル、カナダドル、イギリスポンド、ユーロでVisaなどのクレジットカードまたはApple Payに対応しています。
先祖+特徴検査
23andmeと他社の検査の価格を比較してみました。
- Living DNAの先祖検査は23andmeと同じくらいの価格で常染色体、DNA、Y-DNA、mtDNAを基に、23andmeと同じような先祖情報を調べることができます。ただしネアンデルタール人の血がどれくらい混ざっているかは判定できません。また、レポートを小冊子として印刷してもらうのはやや高価格です。
- AncestryDNAは23andmeと同じくらいの価格でキットはあまり詳しくなく、常染色体の遺伝子しか分析しません。
- MyHeritageの方が23andMeより少し低価格です。しかし先祖レポートは23andmeの方が断然詳しく、MyHeritageはmtDNAとY-DNAを分析していません。
- FamilyTreeDNAの常染色体だけ分析する先祖検査は23andmeよりかなり低価格ですが追加料金を払えばmtDNAとY-DNAも検査してもらえます。
- HomeDNAもmtDNA検査とY-DNA検査を区別しており、常染色体DNA検査は23andmeのコンボ検査よりかなり高価格です。
- Helixの先祖検査は内容が表面的で、私の知る限り健康レポートのアドオンとして利用できるだけのようです。23andmeの健康+先祖検査よりかなり高価格です。
健康+先祖検査
既に23andmeの先祖検査の結果が出てるならもう少しお金を払って健康レポートもゲットできます。もう一度DNAサンプルを送らなくてもいいので便利です。では、このサービスの価格を比べてみましょう。
- MyHeritageの健康+先祖検査は23andmeと同じ価格ですが、内容は23andmeの方が充実しています。
- AncestryDNAの健康+先祖検査は23andmeの検査より少し安いですが病気のリスクや保因者ステータスに関してはあまり多くの病気を検査していません。
- Helixは健康に関する様々な検査を提供していますが23andmeの検査と比べると割高で、あまり多くの病気のリスクや保因者ステータスはカバーしていません。
VIP 健康+先祖検査
この検査では2人の遺伝子を分析できます。これがユニークな理由は2つあります。
- 女性はY-DNA検査を受けられませんから、男性の親戚に検査を受けてもらわないと父系先祖について調べることはできません。
- 子供を持つ予定なら、子供に遺伝する可能性のある病気に関してパートナーと一緒に保因者であるか確認したいと思うかもしれませんね。
普通の健康+先祖検査を2つ注文するより2倍のコストがかかるのはなぜか疑問に思ったかもしれません。「優先的にラボで処理し、プレミアカスタマーサポートを利用でき、先祖の結果をワンツーワンで説明」してもらえるからだそうです。料金を払う価値があるとは思えません。
一部の利用者は不満があるようですが、私は満足しました
23andmeはセルフサービスで資料を読めるのが便利ですね。サポートページやよくある質問などがあります。すべての質問の答えが分からなかった場合、メール(問い合わせフォーム)、電話、ライブチャットで質問できます。 23andmeのライブチャットとメールのサポートを試してみました。ちなみに、ライブチャットサポートがある会社はほとんどありません。 23andmeは一定期間がたつと利用者の情報を完全に削除するという文句を読んだことがあるのでカスタマーサポートに質問してみたところ、データは削除されないと教えてくれました。電話とメールで質問してみたのですが、どちらも素早く対応してくれました。23andmeは2017年にサイトの利用体験を大幅に改善し、「現在の健康レポートは印刷可能なPDF形式で永久に保存しておくことができます」と利用者に開示したときに不満を感じた利用者がいるのだと思います。 他の文句は唾液サンプルに分析に十分な量のDNAが含まれていなかったと言われたということです。この場合、何回かサンプルを提出しなければならず、それでもうまくいかなかったり返金してもらえなかったケースもあるようです。
私が利用したなかで最高の遺伝子検査サービス
23andmeは私が試してみた遺伝子検査サービスのうち、一番に気に入っています。先祖レポートも検査レポートも他の検査会社より情報量が多く、安いからです。さらに、一部の利用者はサポートの対応に不満を抱いているようですが、私は満足でした。 それでも、健康の情報だけを知りたくてDNA検査を受ける場合はDNAfitやHelixを検討した方が良いかもしれません。23andmeは健康状態だけを検査することはできないからです。先祖検査と一緒にパッケージとして提供されています。他社の検査を選ぶことで同じくらいの情報(またはそれ以上)を知ることができ、先祖検査の分の料金を節約できます。 それに対して家系について知りたいならAncestryDNAとMyHeritageは歴史的な記録が充実しており、家系図サービスもあるのでもっと価値があるかもしれません。ただし、定期的な支払いが必要です。 健康と先祖を両方調べたい方は23andmeの総合的にバランスの取れたパッケージがオススメです。結果の内容は興味深い情報や実用的なアドバイスがバランスよく掲載されています。